【Phase2-preview】ブルーを殺したのは誰か
Phase2の一部が公開
16ヶ月ぶりのブログ更新である。現実世界で起こっている色々を含む諸事情により、「キコニアのなく頃に」Phase2のリリースは相当遅れており、謎の答え合わせにはまだまだ時間を要しそうな情勢である。
しかし先日、小冊子にてPhase2の一部テキストが先行公開されたので、それについての考察をこの機会に追記しておこう。未読の方は、当記事の前に、以下でダウンロードできるPDFをお読みいただきたい。
わざと隙を残してくれてる
公開部分のラストが秀逸に思えたので、まずはそこから見ていきたい。
……やはり、団長閣下が言うように、……こいつはヤツらの手心なのか?
あまりにもワンサイドゲームになるとつまらないからと、わざと隙を残してくれてるのか……?
【藤治郎】「それともまさか、また、………本当は構って欲しいから、ちらちらと隙を見せてるなんて、……思春期の女の子みたいなことを考えてるんじゃないだろうな……?」
これは「藤治郎が、敵である何者かに思いを馳せている」というような場面であるが、メタ的に考えると、これは我々考察勢と作者との関係を思わせる。
まず、「わざと隙を残してくれてる」というのは、Phase1に散りばめられていた数々の手がかりを想起させる(……そんなことを言って、当ブログの推理が全然的外れだった場合はみっともない話であるが)。
次に、「また」「思春期の女の子みたいなことを考えてる」というのは、「うみねこのなく頃に」の出題を想起させる。そのような目で読み直せば、遡って「あまりにもワンサイドゲームになるとつまらない」というのも、同様に含むところがありそうである。
そのようなわけで、これは作者が、Phase2の前にもっと我々に構ってほしくて投下した新ネタ……という自虐を重ね合わせているようにも読めるのである。仮にそうであれば、当記事が、作者の期待に少しでも応える内容になっていることを願う次第。
赤き海の星
さて本題。今回公開されたシナリオを要約すると、水質浄化8MSに感染して色を赤くしてしまうウィルス「レッドダイ」をハッカー「グリンリーパー」に開発させた、藤治郎以外の何者かがいるという内容になっている。
その理由について、作中では次のように述べられている。
【担当者】「そいつは俺にこう言った。お前がグリーンを殺したいように、自分はブルーを殺したいってな! 8MSで生み出された偽りの、海の青が気に入らねぇって言うんだ!」
大金を投じて、グリーンだけでなくブルーをも殺させた人物は、海の青がお気に召さなかったらしい。グリンリーパーの当初の予定通り、グリーンだけを殺した場合は紫になりそうなものだが、それではご不満のようである。つまり、この奇妙な依頼の発注者には、海を赤くしなければならない動機が存在するということになる(メタ的には、緑と青はそれを隠すための煙幕であろう)。
海水が赤くなったという直接的な描写はPhase1には登場していないが、読了後にタイトル画面の背景が赤い惑星になること、および、関連作品「ひぐらしのなく頃に業」に登場する「赤き海の星」という台詞に符号する。
黙示録再び
なぜ海を赤くしなければならないのかというと、それはズバリ、神の計画たるヨハネの黙示録にそのように書かれているからである。
以下は、第16章からの引用である(太字は当ブログによる)。
それから、大きな声が聖所から出て、七人の御使にむかい、「さあ行って、神の激しい怒りの七つの鉢を、地に傾けよ」と言うのを聞いた。
そして、第一の者が出て行って、その鉢を地に傾けた。すると、獣の刻印を持つ人々と、その像を拝む人々とのからだに、ひどい悪性のでき物ができた。
第二の者が、その鉢を海に傾けた。すると、海は死人の血のようになって、その中の生き物がみな死んでしまった。
第三の者がその鉢を川と水の源とに傾けた。すると、みな血になった。
このような記述があるため、神のシナリオの演出として、海や川の水を血のように赤くする手段が必要というわけである。もちろん、それを必要とした何者かこそが「神の代理人」すなわち全ての黒幕であるに違いない。
黒幕はガントレットナイト?
グリンリーパーは、発注者のセルコンに侵入してその正体を知ろうとするが、瞬時に拒否されて失敗する。
【藤治郎】「……これは、……旧世代の数字じゃないな。……エースクラスだ」
【担当者】「とんでもねぇ、P3値だぜ?! こんな数字を出せるヤツがいたら政府が放っておく訳がねぇ! そこで俺は悟った。こいつはガントレットナイトだ、ってな!」
わざわざ「旧世代の数字じゃない」と断っているのは、藤治郎自身は除外されるという念押しのためであろう。もちろん、藤治郎が別人を装って、同じ人物に再度接触するような回りくどいことをする理由もありそうにない。
だが、そうだとすると、容疑者は現役のガントレットナイト、実質的には都雄たち24人に絞られることになる。当ブログではPhase1時点で「藤治郎が黒幕である」と推理しているが、ガントレットナイトの誰かが黒幕だということになれば、これは全く話が違ってきてしまう。
さあ困った。都雄たち24人の中に、第九最上騎士団のスパイが4人も潜んでいるだけでなく、実は黒幕までいる……そんな可能性があるだろうか?
もっとも疑わしい人物
ここで、現役ガントレットナイトの他にも一人だけ、並外れたP3値を持っていることを示唆されている人物がいたことを思い出そう。それは、ABN国際空港の監視システムに侵入し、軽々と証拠隠滅をしてみせたセシャトである。現状、もっとも疑わしいのは彼女であろう。
以下の記事の結論は「藤治郎とセシャトは、両者とも神の代理人またはその賛同者であり、互いにそれを隠している」というものであった。
【Phase1-16】神の代理人は誰か - 謎解きは世界大戦のあとで
今回公開された場面は、藤治郎にとって、セシャトが味方であるという確信を得ていない時点の出来事と解釈すれば、その仮定に矛盾しない。
つまり、「黒幕はP3値が高い人物」→「ガントレットナイトに違いない」という作中の流れは、作者が我々に仕掛けたミスリードなのではないだろうか。もちろん、Phase2本編の展開によっては、今回の推理とは整合しなくなる可能性もあるが、ひとまずはそのように考えておきたい。
結論
ブルーを殺したのはセシャトである可能性が高い。