謎解きは世界大戦のあとで

キコニアのなく頃に考察

【Phase1-11】神のシナリオとは何か

聖イオアンニスの黙示録

f:id:NeutralDigamma:20200201135337j:plain f:id:NeutralDigamma:20200201135346j:plain フラグメント16にてその存在が明らかになる「聖イオアンニスの黙示録」。これは我々読者の現実世界にある「ヨハネの黙示録」のことである。キコニア世界では、我々の世界と違って正典扱いされていないことになっている。

ヨハネの黙示録(口語訳) - Wikisource

死も老いも、悲しみも苦しみも何もない

ヨハネの黙示録の第21章には、次のような節がある。

また、御座から大きな声が叫ぶのを聞いた、「見よ、神の幕屋が人と共にあり、神が人と共に住み、人は神の民となり、神自ら人と共にいまして、人の目から涙を全くぬぐいとって下さる。もはや、死もなく、悲しみも、叫びも、痛みもない。先のものが、すでに過ぎ去ったからである」。

f:id:NeutralDigamma:20200201140308j:plain 太字部分が、この場面の描写と符合している。約束の地を実現することが、神のシナリオの最終目的であると思われる。

f:id:NeutralDigamma:20200201141725j:plain 全人類が肉の殻を捨て、地下研究所のような仮想空間へ移住してしまえば理想郷が実現する。前作の黄金郷に相当する内容と考えればわかりやすい。

地下研究所が仮想空間であることについては、前回記事を参照されたい。
【Phase1-10】地下研究所はどういう場所か - 謎解きは世界大戦のあとで

なお、この計画には相当の資金が必要と思われるが、黒幕が特定の場所に地震を起こせるのであれば、地震クジで調達することが可能であろう。

ここが現実の世界だったらいいのにな

f:id:NeutralDigamma:20200202122436j:plain 実はこれは、都雄が最終的に望んでいることである。最終章では作者が本気で泣かせにくるので、我々読者も冷静な思考能力を失いがちであるが、この場面の会話こそが物語の核心に触れる内容と思われる。

f:id:NeutralDigamma:20200202122457j:plain f:id:NeutralDigamma:20200202122515j:plain 「サーバーの中に移住するか」というのがそのまま答であり、彼らは意図せずして、神のシナリオに賛同してしまっているわけである。

お前が望んでた世界なんだぜ

f:id:NeutralDigamma:20200202123136j:plain f:id:NeutralDigamma:20200202123200j:plain ここまで考察できれば、本編ラストの意味も見えてくる。黒背景のモノローグはジェイデンの心の内であり、彼が実際に話している相手はミャオである。そして青い身体は、地下研究所の少女たちと同様、ここがすでに現実世界ではないことを示唆している。

都雄は「仮想空間が現実の世界であること」を確かに望んでいたし、ジェイデンはミャオと一緒に行くと約束していた。神のシナリオは実現されてしまったのである。

結論

神のシナリオとは、全人類を仮想空間に移住させることである。